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「こんな楽しい旅行は、今までに初めてでした。お宅のお子さんのお陰です。息子さんの絶妙なガイド、それに統率力で、みんな一糸乱れず、一人の落伍者もなく、私もそんな大きな気遣いもなくて、気持ちよく付き添いができました。お母さんからも是非息子さんによろしく伝えてください。ありがとうございました」と、お土産の品ととも、お礼を言われるのです。少々戸惑いましたが、わざわざ、息子のことでお礼を言われて嬉しいことでもありました。
それには、私たちの家庭での方針が、息子への自信につながったのではないかと思うことでした。小学二年生から家からの通学となって、そのときに長男に向けては、「物おじしない、たくましい生活力を育てよう」を第一の目標にして頑張ることを決めました。
「とかく、障害者としていじけたり、物事に消極的になったりして、依頼心が強くなったりするといっまでも独立できない。一人立ちして自分の力で求めて行けるように育て上げよう」ということでした。
主人は、よく全国の研究大会に出向くことがありましたので、それを機に学校へお願いして許可をいただき、私も一緒に同道して、主人とは別行動で、あちこち連れて歩きまわり見聞を広めさせました。三、四泊ほどの旅でしたが、史跡あり、観光あり、ほんとうによく長男と行動しました。お陰さまで私の方も大いに勉強になりました。
二男はその間、叔母に来ていただきました。端的にいって、こうした行動が、修学旅行にも、大きな自信となって、他の生徒のみなさんを引きつける力を発揮したのだと思います。現に、学校卒業のときから、あらゆる交通機関、宿泊所を利用して、自力で全国を駆けまわって

 

 

 

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